书籍介绍
ラース・ビハーリー・ボース。
その男は、1910年代のインドを代表する過激な独立運動の指導者である。イギリス官憲に追われ、インドに留まることに身の危険を感じ、武力革命のための武器と資金を調達すべく海外へと逃亡した。逃亡先として彼が目をつけたのが、国力を高めていた日本の地であった。
時は第1次大戦中、日英同盟を楯に、イギリス政府は執拗にボースの身柄受け渡しを要求する。国外退去命令を受け、追い詰められたボースは、右翼の巨頭・頭山満や、若き思想家・大川周明らの力を借り、官憲の目をまんまと騙し、東京・新宿の「中村屋」敷地内に身を隠す。
やがて第1次大戦が終わり、ボースは検束の危険から解放された。以後インド独立への活動に、身を挺する。極東の地から、インド独立の世論を盛り上げ、西欧の支配下からアジアを奪還するため、広く言論の網を(流暢な日本語で!)張る人物となるのだ。
そして、R.B.ボースは、インドを支配するイギリス人たちと日本のアジア主義者たちが「同じ穴の狢」=帝国主義者であることを鋭く指摘し、彼らの論理を内側から突き崩そうと、果敢な論評を発表し続ける。
しかしやがてボースは、米・英との戦争に突入した日本軍部と、アジア解放の名の下、皮肉な共闘関係に入っていく。「大東亜」戦争勃発の瞬間、ついにインド独立という夢がかなう時が来たと考え、「これまでの苦労がすべて吹き飛ぶ」思いにボースは満たされる……。