ある雨の午後、温泉地に旅行に来ていた小学生・俊が写生の最中に轢き逃げされて死亡した。唯一の目撃者である男性に不審を抱く俊の叔母・紗江。自ら目撃者に近づき、男の嘘を暴こうとするが…。クライマックスは長野・望月地方に伝わる「榊祭り」の会場。荘厳な祭礼の流れに重なるように、物語は佳境へ導かれていく。
犯人を暴いたのは、1冊の「小説」だった。処女作から60年…最後の書下ろし長編は、土屋文学の集大成。90歳での書下ろし作品。
土屋隆夫(ツチヤ タカオ)
1917年長野生まれ。1949年、雑誌「宝石」百万円懸賞コンクール短編部門に『「罪深き死」の構図』を投じ、第一席入選してデビュー。1963年、千草検事シリーズ第一作となる『影の告発』で日本推理作家協会賞を受賞。2002年、第五回日本ミステリー文学大賞を受賞。