书籍介绍
晩年の丸山眞男が,自らの生涯を同時代のなかに据えてじっくりと語りおろした本書は,興味深い事実と臨場感あふれる語り口によって,昭和史の一断面を生き生きと伝える貴重な証言である.『丸山眞男集』刊行の準備として5年余りにわたって行なわれたインタビューの記録に,読解を助ける詳細な注を加えて文庫化する.上巻は生い立ちから敗戦前後まで.(全2冊)
■内容紹介
丸山眞男氏の生い立ちから最晩年にいたるまでの個人史が自由に生き生きと語られるこの「回顧談」は,晩年の丸山氏が『丸山眞男集』編集の準備のために,松沢弘陽・植手通有両氏らによるインタビューにこたえた記録をもとに編まれたものです.
出会った人々や社会的事件,少青年期の挫折体験,思想犯被疑者としての検挙勾留や陸軍の一兵卒としての経験,少年期以来の耽読した書物,無声時代からの映画鑑賞,時代への抵抗感と不可分の新劇鑑賞,大学における講義や教授の印象談,音楽趣味の変遷などなど,その内容の多様さ多彩さは瞠目に値します.この驚くべき記憶力に支えられた興趣尽きない談話を,今回の文庫化にあたり新たに編者に加わった平石直昭氏は「“びっくり玉手箱”のような面白さ」と形容しています.
単行本版(2006年)刊行後の研究の進展,とりわけ東京女子大学・丸山眞男文庫の整理と調査が進んだことを受けて,このたびの現代文庫版ではその成果を反映させ,本文中の注,巻末にまとめた補注ともに,大幅に増補されました.没後20年を期して文庫化した本書を「定本」と呼ぶゆえんです.
また平石直昭氏による「解説 人生への追記」(下巻所収)は,このような回顧談を晩年の丸山が残すに至った理由を,その思考の変遷を丁寧に追いながら考察するとともに,丸山の著述類のなかで本書がもつ意味を明らかにしています.
丸山眞男関連地名略図(上巻は都内,下巻は長野県を中心に),人名索引(下巻)付き.